甲賀の夜空を見上げてみれば……
星の子になろう♪ 天体観望会「夜空旅人」に参加してみた

2021.04.25
市民のための「星空探検」
みなさんは「夜空旅人」(よぞらたびと)って聞いたことありますか?
甲賀町にある「かふか生涯学習館」にて、月イチペースで開催されている天体観望会の名前です。
「夜空を旅する人」なんて、ちょっとおしゃれな響きですよね。
天体観望会って聞くと何だか小難しそうだけど、要は『みんなで星を観ましょう』という集まり。
甲賀市民ならだれでも無料で参加できます。(要予約)
言うなれば、”市民のための星空探検”といった趣のイベントです。
今回は、記者が実際にこの「夜空旅人」に参加してきました。
どんなことをしているのか? また、どんなことをされるのか?(笑)
ここに渾身のレポートをお届けします!
期待に胸を高鳴らせ
時は2021年4月24日。
うららかな春の陽気を感じることができた日中とはうって変わり、肌寒さの増してきた夕方の甲賀町。
鹿深夢の森にある「かふか生涯学習館」には、親子連れを中心に14人が集っていました。
「夜空旅人」という天体観望会に参加するため集まった”星の子”たちです。
二階の広いスペースで手指消毒、体温測定、体調チェックというおなじみの感染拡大防止策をしっかり行い、いざ会場へ。
……と思ったら、紙コップを手渡されました。
「検尿までするの!?」などと一瞬思いましたが、どうやらこれは望遠鏡をのぞき込むときに不用意に触れないための措置みたい。底にはのぞくための穴も開いています。
これも一種の感染拡大防止策なのね。

今度こそ会場へ。
そこには、既に10名近くの参加者が座ってらっしゃいました。
未就学~小学校低学年くらいの親子連れがほとんどですが、中にはお一人で参加されている年配のご婦人もおられます。
星がお好きなのかしら?
ほどなくして19時になり、「夜空旅人」が始まりました。
進行の女性がご挨拶、続いて解説を担当してくださる「KAFUKA SKY WALKERS」のみなさんをご紹介。
名前、めちゃめちゃかっこいいやん。
早く星を観たい! という子どもたちの期待感を「まあまあ慌てなさんな」となだめるように簡単な座学へ。
ここでは”太陽系の惑星たち”と”春の星座”について教えてくれました。
うん、思ったよりわかりやすい。
子どもたちも熱心に聞き入っています。

あの北斗百裂拳で有名な某世紀末救世主の胸にある傷痕でおなじみの「北斗七星」も解説してくれました。
ちなみに、作品の中で”死期が近づくと見える”といわれていた「死兆星」、北斗七星のすぐ横に実際にあるのだそうです。
ただ、あまりにも輝きが弱くて肉眼での視認はほぼ不可能らしく「めっちゃ目がいい人なら見えるときもあるかも」だそう。
視力がよければ見えるんやったら死期は関係ないやん。
いよいよ星を見に行こう
それでは階上に上がり、いよいよ星の観察へ。
密にならないように、とABの2班に分かれて行動です。
記者はB班。くだんのご婦人と親子連れとの3組です。
三階に上がると、まずはテラスに出て一般の(それでもけっこう大きい)望遠鏡を使って月の観察へ。
この日は夕方まで少し曇っていましたが、この時間には雲もほとんどなくなって夜空が良く見えていました。
絶好の星空堪能時間です。
今宵は右下が少し欠けた状態の「下弦の月」。
先ほどいただいた紙コップを使って望遠鏡をのぞいてみると、欠けている部分がクレーター(ボコボコした部分)になっているのがはっきりとわかります。


「今観ているお月さまも頑張ればスマホで写せますよ」という解説のお兄さんの言葉に目を輝かせた子どもたちは、ママのスマホで一生懸命、月の撮影にチャレンジ。
紆余曲折の末、何とか撮影できたようで「撮れた撮れた! ボク天才ちゃう?」と鼻高々の男の子に、周りの大人はみんなほっこりさせられました。
うむ、そのまままっすぐ育つのだぞ、少年。
ちなみに記者はうまく撮れませんでした。トホホ。
そのまま20分ほど星空を眺めながら各々が質問タイム。
「カシオペア座ってどこにあるの?」とお尋ねのマダムは、どうやら既に何度か参加されているご様子。
ベテランの”旅人”だったのですね。
北極星を見てみよう!
ほどなくしてA班と入れ替わり、天井がドーム状になっている観望ルームへ。
そこにあったのは、”関西最大級”という屈折望遠鏡「アストロバズーカ夢の森」(勝手に命名)。
もちろん人力で動かせる代物ではなく、すべてマシン制御の超巨大望遠鏡です。
下のほうにつるされているテルテル坊主が可愛い♪

こちらでも簡単な座学。
手作り感満載のパワーポイントで、屈折望遠鏡のしくみなどを丁寧に教えてくれました。

しかしここで予想外の出来事が!
なんと、子どもたちが次々と眠くてダウン寸前に。(笑)
時計を見ると20時を回っています。
そうだね、もう眠くなってくるよね。
優しく解説してくれているとはいえ、難しい言葉もいっぱい出てくるしね。
「KAFUKA SKY WALKERS」のお兄さん方も少々困りながら苦笑い。
大丈夫、あなたたちは悪くない。(笑)
悪いのは睡魔だから気にしないで。
何とか座学も終わり、本題の「北極星をさがそう」に。
オペレーターのお兄さんが「アストロバズーカ夢の森」(しつこいようだが勝手に命名)を機械でちょちょっと操作すると、重厚なモーター音を響かせながら北極星の方向へ向き直る。
子どもたち、一気に目が覚めて食い入るように望遠鏡見つめる。
子どもは正直だなあ。(笑)
そして画面に映し出されたのは……

画面右上に輝く北極星!
ついに降臨です♪
こうやってみると明るく感じるけど、肉眼ではそれほど目立たない。
実際、先ほどテラスで見たときはほとんどわかりませんでした。
この北極星、見つけかたも教えてくれました。
柄杓型の北斗七星、その柄杓部分の先っちょから柄杓の5倍くらいの距離をたどっていけば、北極星が見つかる、とのこと。
春の晴れた夜には見つけやすいらしいので、ぜひチャレンジしてみてください!
ちなみに、北極星って「変わる」のをご存じでしたか?
北極星は、ご存じの通り地球の自転をずーっと北に延長したところにある、いわゆる「動かない」星。
だから「変わる」ってどういうこと? って思いますよね。

実は、地球の自転軸は微妙に傾いており、長い歴史の中でいえば北極星は「時代ごとに変わっている」そう。
ちなみに、今の北極星はこぐま座の「ポラリス」ですが、次の北極星も既に決まっている、とのこと。
ただ、次の北極星がポラリスからバトンを受け取るのは、およそ2000年後だそうです。
気の長い話やなあ。(笑)
子どもたちは大満足
その後、2班ともスタート場所に戻ってアンケートに回答。
アンケートに記入する間もビジョンで「月の見立て」という物語を流してくれていました。
先ほどまでの眠気はどこへやら、子どもたちは口々に「楽しかった」「また来たい」と嬉しそうにご両親に報告。
アンケート用紙など必要ないのでは、と思うくらいに前のめりな反応でした。(笑)
最後に次回開催を告知され、無事に閉幕。
帰りもスタッフ全員で見送ってくださり、子どもたちも大満足のイベントでした。
「夜空旅人」いかがでしたか?
記者はプラネタリウムこそ行ったことはありますが、天体観望会は初めての体験でした。
実際の星を観察することで、星というもの自体に興味が生まれ、また自分でいろいろと調べてみたくなりました。
記者のような大人でもそうなのですから、好奇心の塊である子どもたちにとってはワクワクが止まらないでしょうね。
なかなか星空を眺める機会がない今日この頃、たまには一息ついて数多の星たちに思いを馳せてみるのも贅沢な時間の使い方かもしれません。
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