「続けられる農業」への挑戦
──本日はよろしくお願いします。
藤田 はいどうも。こんなときに悪いなあ。(注:さっきまで土砂降りだった)
──いえいえ、全然大丈夫です。
藤田 晴れてたら田んぼ行かなアカンから。すまんこって。
──藤田社長はご自身も農業されてるんですよね。
藤田 そやねん。だから農家のしんどさもわかるというかね。
──なるほど。今、鹿深サービスさんで取り組んでいる「スマート農業」はご自身の経験から来てると。
藤田 そらそれもあるわね。農業ってホンマにしんどいねん。
──確かにそういうイメージがあります。夏前になると除草剤撒いて、苗植えて、肥料撒いて、稲が実ったら一気に刈り取るみたいな。
藤田 そうそう。今言わはったみたいに、何べんも除草剤撒いたり肥料撒いたりせなアカンねん。それも暑い時期やろ? 除草剤の重たいタンク背負って回るから高齢の人には身体に堪えるねんな。
──タンクって何kgくらいあるんですか?
藤田 だいたい20kgくらいやわ。
──20kg!? めちゃくちゃ重たいですね!
藤田 除草剤だけでそれやからな。そこにタンクの重さもあるから相当よ。
──それで「スマート農業」を導入されたんですね。具体的には「スマート農業」ってどういうものですか?
藤田 何も難しいことやなくて、一番は「農業を続けられる環境」を整えることなんです。今はもう昔では考えられへんくらいにいろんなものが普及してきた。そのひとつが「IT」なんですわ。その「IT」を農業に取り入れて、少しでも負担を少なくして農業を続けやすいようにしたいんです。
──確かに今はAIが台頭してきたりしてますしね。
藤田 農家も高齢化が進んでるし、農家を若い人が引き継ぐケースもある。そんなときに旧態依然とした「真夏に重たいタンクを担いで何時間も薬剤を撒く」なんてめちゃくちゃしんどいし、何より熱中症とかが怖い。ヘタしたら命に関わるわけです。
──毎年夏になると熱中症警戒アラートが出たりしますしね。
藤田 そんなときに外で重労働なんかできひんやん。特にお年を召した方ならなおさら危険やしね。だから「スマート農業」で少しでも体の負担を少なくしてもらって、農業を続けやすくしてもらいたいねん。
農業を守ることは「食」を守ること
──なるほど。「スマート農業」って具体的にはどういうものがあるんですか?
藤田 代表的なものが「ドローン」です。ウチでは「空飛ぶ農機具」って言うてますけど。(笑)
──空飛ぶ農機具!(笑)わかりやすいネーミングですね。
藤田 この「空飛ぶ農機具」を使って、除草剤とか肥料を散布するんですわ。最近は品種改良で肥料もええもんが出てきてますから、昔みたいに何べんも撒かんでもええようになってきたけど、それでも持ってはる田んぼが多ければそれだけ労力はすごい。このへんやったら1町(約10000平方メートル=1ヘクタール)持ってる人もいはるから。それを全部重たいタンク担いで撒けって言われたらどうですか?
──田んぼ売ります(笑)
藤田 そう考えてしまうよね。そうなるとどうなるかというと、休耕地が増える……つまり田んぼが減るんですわ。お米はわたしらの主食でしょ? そのお米を作る農家が減るっていうことは、ぶっちゃけ言うたら10年後、20年後の食卓から「ごはん」が消えてしまうかもしれへん。消えへんまでも、輸入米に頼らなアカンようになってしまう。
──自給自足ができない=自分たちの首を絞めてしまう、ってことですね。
藤田 わたしらはそんな未来にしたくないんです。子供や孫の世代にも美味しいお米を食べさせてあげたい……農家はその想いだけで頑張ってはるんです。だから我々にも何かお手伝いができないか? と考えて、農家の負担を減らす「スマート農業」を導入しました。
鹿深サービスの農薬散布専用ドローン。きっちりご祈祷も済ませているのがニクい。
田んぼのポテンシャルを最大限に発揮
──藤田社長の農家さんへの想いがよく伝わります。
藤田 そやけどね、 「スマート農業」のええとこはタンク担がんでええだけちゃうねん。
──あ、他にもメリットがあるんですか?
藤田 ひとつは”撒きムラ”が減らせることやねん。人力で農薬を撒いてると、どうしても薬剤が風に流されたりして場所ごとに”撒きムラ”ができてしまうんです。”撒きムラ”ができると、除草剤撒いたのに雑草が生えてきたり、肥料が行き届かずに稲の生育にも影響が出てしまう。
──重たい思いして薬剤撒いてるのにそれはたまりませんね。
藤田 でもドローンならこんなふうに(画像参照)、田んぼごとに撒くルートを指定してやれば、あとはボタンひとつで勝手にルート通りに撒いてくれる。これなら”撒きムラ”もほとんどないから田んぼのポテンシャルを最大限に活かせるんですわ。
──稲の生育状況も安定しますね。
藤田 それだけやなくて、田んぼの端々までカバーできるから獲れるお米が増える可能性があるんです。
──え、そうなんですか?
藤田 今まで”撒きムラ”があって獲れへんかったところからお米が獲れたら単純に収穫量が増えるでしょ? 田んぼの端っこのほうまでやれば、うまくいけば収穫量が1割くらい増えることも珍しくないんですわ。たとえば今まで8俵獲れてた田んぼなら9俵獲れる可能性がありますねん。
──労力も減って、獲れるお米も増えるんなら最高ですね。
藤田 もうひとつのメリットは「リモートセンシング」です。さっきも少し話に出た生育状況を「見える化」できるんですわ。特殊なカメラで撮影すればこうやって生育状態に応じて自動的に色分けしてくれるんです。(画像参照)
──おお、すごい!
藤田 薬剤を撒くときに先にリモートセンシングで生育状況を見とくんですわ。そしたら集中的に撒かなアカンとこ、軽く撒いといたら十分なとこが事前にわかる。薬剤の節約にもなるんです。
──なるほど。ここでも効率化ができるわけですね。
藤田 その通りです。物価高でもあるし、コストを抑えるにはいい方法やと思います。
農家も我々もWIN-WINの関係を
──農作業ドローンは高いと聞きますし……料金がいささか心配です。(笑)
藤田 これはわたしらの想いでもあるんやけどね、使ってもらう以上は農家さんになるべく負担をかけたくない。農家ってね、ただでさえ薬剤の購入や稲刈機のメンテナンスなんかでお金がかかるんですよ。
──個人事業主ですもんね。
藤田 そやから必要最低限のご負担で使ってもろて、なおかつさっき言うたように田んぼから獲れるお米が増えたら収入も増えるやんか。だから我々だけやなくて農家さんも収入が増える可能性がある取り組みなんですよ、ってことを知ってもらいたいですね。
──具体的には料金はどれくらいなんですか?
藤田 一反あたり2,200円が基準になります。そやから1町やと単純に22,000円ですわ。
──あれ? なんか思ったよりめっちゃ安いですね。
藤田 薬剤に何を使うかとかでまたちょっと変わってくるかもしれへんけど、だいたいそれくらいの感じです。
──ちなみに、普通に自分で薬剤を撒いたらいくらくらいかかるものなんですか?
藤田 もちろん使う薬剤によりますが、一反あたりだいたい5,000円~6,000円かかることも珍しくないと思います。
──え!? ドローンの2倍以上じゃないですか。
藤田 それにプラス自分で重たいタンク背負って薬剤を撒く労力もあるしね。たまったもんちゃうでホンマに。
──ははあ……それでも農家さんは地域のために歯を食いしばって頑張ってるんですね。
藤田 そやねん。だから「スマート農業」で少しでもしんどさを減らして、長く農業を続けてほしいんです。それが地域のため、ひいては日本の食文化のためになるしね。
──美味しいごはん、ずーっと食べたいですよね。
藤田 ホンマにそうやねん。だから少しでも「スマート農業」を知ってもろて、いっぺん試しに使ってもらいたいです。そしたら秋の収穫で「ドローン使ってよかった」と実感してもらえると思うので。ぜひよろしくお願いします。
──藤田社長、ありがとうございました!
【インタビューを終えて】
とにかくエネルギッシュな藤田社長。
農業への想いが溢れんばかりで終始圧倒されてしまうと同時に、「こういう人が未来に風穴を空けていくんだな」と感じました。
藤田社長の「スマート農業」に興味を持った農家のみなさん!
最初に打ち合わせをすれば「あとは任せた」ができるらしいので、ぜひ一度問い合わせてみてはいかがですか?
【株式会社 鹿深(かふか)サービス】
滋賀県甲賀市甲賀町相模683-5
0120-884-923(通話無料)
(聞き手:寺田まさる)










































